インドネシア政府は石炭の輸出を今月31日まで一時的に禁止すると発表
国内の石炭火力発電所での需要が高まっており、自国への供給を優先する
世界最大の石炭輸出国であるインドネシアからの調達が難しくなることで、市場価格に影響する可能性もある。
エネルギー・鉱物資源省などによると
インドネシアでは電力供給を安定させるため、石炭生産会社が年間生産量の25%を国内の電力会社に供給することを義務づけている。国内の石炭備蓄量が減っていることから、同省が1日に声明を発表し、「輸出禁止が強制されない場合、1万850メガワットの電力を供給する20の石炭火力発電所が停止に陥り、国家経済の安定に支障をきたすおそれがある」と説明した。政府は5日にこの措置を再評価する方針。
インドネシアは世界最大の石炭輸出国
一般炭の世界最大の輸出国であるインドネシアには、世界の二大石炭輸入国である中国・インドが主要な輸出先となっている。
中国のバイヤーは国産炭とのブレンド原料としてインドネシア炭を使用し、低硫黄分・低灰分が低発熱量を補っている。船舶データでは、2018年1~9月、インドネシアの中国向け石炭輸出量は89.7百万トン(前年度同期比 18.8%増)と堅調に増加しているが、増加の大半は1~3月であり、7~9月は減少している。中国のインドネシアからの石炭輸入量は9月7.5百万トン、8月9.7百万トンと激減している。
インドの全体石炭輸入量は9月7.1百万トン、8月7.4百万トンと微減だが、インドネシアの石炭輸出事業者にとってそれほど悪い状況ではない。インドの2018年1~9月の全体石炭輸入量は、インドネシア57.8百万トン(前年度同期は58.2百万トン)、米国12.5百万トン(前年度同期比49%増、前年度同期は8.4百万トン)、南アフリカ共和国25.9百万トン(前年度同期比16%増、前年度同期は22.4百万トン)、豪州34.7百万トン(前年度同期は30.4百万トン)。インドネシア炭の輸入は時期によっては減少しているものの比較的横ばい状態が続いている。
これらの石炭価格・中国・インドの実績は、インドネシア炭がより高品位な石炭と比較して安価であるにもかかわらず、バイヤー間では関心を持たれていないように思われ、インドネシアが主に低品位である一般炭輸出量の増加では苦慮する可能性が高いことを示している。
ジョコ大統領は3日、「国内需要を満たす義務を果たせない企業は制裁の対象となる可能性がある」と発言した。
政府によると、2020年の輸出量は約4億トン。最大の輸出相手国の中国が約3割(約1・2億トン)を占め、インド、日本、韓国と続く。
インドネシア政府は昨年8月にも、国内の石炭生産会社34社が供給義務を順守していないとして、輸出禁止の制裁措置を科した。
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